観劇記録であるとか

タイトルの通り。

観劇まとめ(2025年)

えー、2025年上半期で記事あげようとか思っていたら結局逃してしまいました。しかも2月突入。やる気があるのか、お前は。

とりあえず、2025年に見た演目のリストから始めます。

 

1月
『ドードーが落下する』@ KAAT大スタジオ

2月
『花と龍』@ KAATホール
『愛と正義』@ KAAT大スタジオ

3月
『靴履く俳優2025』@すみだパークギャラリーささや
『イリュージョニスト』@日生劇場

4月
『おどる夫婦』@THEATER MILANO-Za
『〈不可能〉の限りで』@静岡芸術劇場

5月
『ラクリマ、涙』@静岡芸術劇場
『Take Me Out』@有楽町よみうりホール
『星の降る時』@PARCO劇場

6月
『不思議の国のアリス』@新国立劇場オペラパレス
『W3』@THEATER MILANO-Za

7月
『鏡の中の鏡』@ KAAT大スタジオ
『わたしたちをつなぐたび』@ KAAT大スタジオ
『PLAY』@新国立劇場オペラパレス

8月
『帰還の虹』@座・高円寺1
『ほぐすとからむ』@彩の国さいたま芸術劇場小ホール
『八月納涼歌舞伎』第三部 @歌舞伎座

10月
『ヨナ』@東京芸術劇場シアターウエスト
『誠實浴池』@東京芸術劇場プレイハウス
『ダンス審査員のダンス』@東京芸術劇場シアターイースト
『チ。 -地球の運動について-』@新国立劇場中劇場

11月
『我ら宇宙の塵』@新宿シアタートップス
『狩場の悲劇』@紀伊國屋サザンシアター
『Ballet Shoues』@National Theatre
『Operation Mincemeat』@Fortune Theatre
『SIX』@Vandeville Theatre

12月
『南京プロジェクトvol.6』@STスポット
『だくだくと』@STスポット
『Which Witch』『MAMA』@長者スタジオ
『ギア』@ギア専用劇場

 

ということで、今年は31演目観ました。
ここ数年誕生日(9月)前後に「誕生日観劇♪」なんて浮かれて観劇を入れていたのですが、結局何も見ず。「こんなにも演劇に興味を失ったか」と思ったけど、10月の秋の隕石、11月のロンドン旅行、12月のYPAMで数が増えました。でも『最後のドン・キホーテ』、観ておけばよかったな……。

年間ベストは『ラクリマ、涙』。感情的すぎないクールな演出だけど切実。最も惹き込まれた作品だった。
『Operation Mincemeat』も良かったけど、英語の台詞を正しいニュアンスで聞き取れているか自信がないのであまり深いことが言えない。とはいえ演劇の面白さがつまった作品なので、ロンドンに行く人がいたら全員に勧めたいくらいには好きだった。
日本の作品だと、翻訳ものになるが『星の降る時』や『狩場の悲劇』が良くできていた。『鏡の中の鏡』は子どもをなめないキッズ・プロジェクトで好感。台湾との共作だが『誠實浴池』も好きだった。
国内の作品でとびっきりこれ!というものが見つからなかったのが残念。自分の作品選びの問題かもしれないし、コロナ禍の切実さから少し抜け出して作品が少しゆるんだのもあるかもしれない。

 

個別で記事あげなかったものを以下記述。そもそも記事をあまりあげなかったので、大ボリュームです。全部読む人がいたら感謝感激。遠隔ハグを送ります。

『ドードーが落下する』@ KAAT大スタジオ
下劣な欲望がゆえに良い人ヅラしたり、未練を隠すように大仰な振る舞いをしたり。そういった日常の、人間の気持ち悪い部分の表現が巧み。一方、ラスト2人のシーンは(現実でなかったとしても)あたたかい友情が見えて思わず泣きそうになった。平原テツはじめ、役者も皆上手かった。
しかし後列での観劇で、舞台上に設置された壁の圧迫感もなかったためか、全体にわりとさらっと見てしまった。

『愛と正義』@ KAAT大スタジオ
高クオリティな学生演劇みたいなかんじ。役者はそこそこ上手いし(中でも一色洋平は一つ抜きん出ていた)、可動式の大道具を使って高低差ある動きを作っているのも良いのだが、色々と粗い。最後、春一番とデカデカ書かれたデコトラみたいなのが出てきたのは楽しかったが、本作の雑な点の一つでもある。

『靴履く俳優2025』@すみだパークギャラリーささや
映画美学校アクターズ・コースの修了展。岡田利規の『女優の魂』というひとり芝居を7人がリレーする第一部、『かよこ×かよこ』という登場人物7人の芝居を上演する第二部の2部制。
『女優の魂』は面白かったが、そこまで上手くない俳優が女優論を語っているのは見ていてキツかった。課題戯曲として適切なのだけれど。第二部は主役の男性の佇まいのみ良かった。

『〈不可能〉の限りで』@静岡芸術劇場
寝不足気味で挑んだのは良くなかった。寝てしまった。最初に挨拶があり、その後一人一人エピソードを語っていくのだが、冒頭挨拶が最も身近かつ現地の悲惨さを想像させる語りだったように思う。
エピソードの中では、一時的な停戦の話が印象に残った。少年の救出のためしばしの停戦に協力するのに、その後すぐ殺し合いを始める虚しさ。
社会問題を扱う作品を観るたび、頭の中で「観て満足してんじゃねーよ、お前は現実の問題をちゃんと見ろよ」と問いかけられる。答えられずにいる。

『Take Me Out』@有楽町よみうりホール
レジェンドチームを観たが、セリフや発声があまり好みでなかった。翻訳演劇すぎるというか。
全体に展開が雑。登場人物たちが善人でないのはいいのだけど、性暴力をふるった登場人物が、その後特に責められないままハッピーエンドになって終わるのはどうかと思う。また日本人選手の描写も、日本だから原爆に触れとくか、みたいな雑さを感じた。
役者は、玉置玲央がさすがの上手さ。章平、原嘉孝も良かった。2階後列で観たが、演劇用ホールでないからか客席が全然暗くならないのも集中を削いだ。

『星の降る時』@PARCO劇場
良質な演劇を観た、という感じ。翻訳も役者の演技も自然で良かった。物語の後半はがむしゃらにやっているのだが、あくまで役としてのそれで、翻訳演劇にありがちなわざとらしさがなく素晴らしい。大きくクレジットはされていなかったが、子ども役の2人も上手かった。
ドラマという意味ではあまりにもイギリスの家族の話すぎて入り込めず。ただそれを宇宙の1つのちっぽけな出来事として描く作品だったので、入り込めなくても楽しめた。舞台上に晒される激しい感情やこじれた人間関係を、遠くから眺めてなんとなく癒される時間だった。

『不思議の国のアリス』@新国立劇場オペラパレス
2度目の鑑賞。1階前方から。前回と比べ、段取りを追っている印象が強く、あまり楽しめなかった。
それにしても、ハートの女王による「タルト・アダージョ」は秀逸。

『W3』@THEATER MILANO-Za
色々突っ込みどころはあるが、概ねエンタメ作品として楽しく観た。ただし、ハム・エッグのくだりは中途半端かつ唐突なのでいらないと思う。やりたいことは分からなくもないが……。
主演も含め、オールアンサンブルでやる取り組みが非常に良かった。というか物語以上にそこが一番ぐっと来た。アイドル主演の舞台でこれをやったこと、そしてこれをやると決めた主演(井上瑞稀)とそのマネジメント側も素晴らしい。

『鏡の中の鏡』@ KAAT大スタジオ
KAATとSPACでそれぞれ子ども向けの作品を創作し、2作品を上演する企画。こちらはSPACの方。
原作は、ミヒャエル・エンデの連作短編集。子どもの方を向いてはいるけど子ども扱いはしない、良い舞台。途中、脈絡がなさすぎて滑っているようなシーンがいくつかあったのは残念だったが。4人の俳優の巧みな演技と、多彩にかたちを変える舞台装置でもって、深く広がる世界を作っていた。照明もシンプルに格好良く魅せていて良かった。

『わたしたちをつなぐたび』@ KAAT大スタジオ
KAAT制作のキッズ・プログラム。王道の物語。家族愛が前面に出過ぎていたのはいまいち。
役者は現在中学生の主役が一番上手く、大人がやたら自信なさげにしていた。ミュージカル俳優ではないから歌が不安なのだろうが、出せるなら最初からきちんと声を出してほしい。
作品の話ではないが、イヤーマフや、気持ちを落ち着かせるためのぬいぐるみ(フィジェット・トイ?)を無償で貸し出していた。よい取り組み。ただ人気すぎて、もらい損ねた子どもが不満げにしていた。これは致し方ないか。

『PLAY』@新国立劇場オペラパレス
パリ・オペラ座バレエ団の来日公演で、アレクサンダー・エクマンによるコンテンポラリー作品。ダンスを見た、というより演出を見た感覚。絵として強いし照明も素晴らしいのだが、綺麗すぎてあまり身体で遊ぶ(PLAY)というかんじがしない。演出としてそれでいいのかは、不明。

『帰還の虹』@座・高円寺
気になっていたタカハ劇団。テンポも着眼点もよいのだが、主人公を狂人にしすぎていたのが残念だった。「なぜ戦争画を描くのか」とか、ポスターにあった「何を描けばよかったのか」といった自ら立てた問いに、はぐらかして答えている印象。オチも好みでなかった。
当日は鑑賞サポートつき。色々なサポートがあることが受付で大きく示されているのが良かった。横に広い舞台で前方センターに座ったため、手話通訳士の存在は気にならず。しかし手話通訳を2時間1人は大変すぎでは。
座・高円寺は初めて。広くて使いやすそう。区の施設にこれがあるのはすごいなぁ。

『ほぐすとからむ』@彩の国さいたま芸術劇場小ホール
AIに対して漠然とした不安と恐怖があるのは(私もそうだし)分かるのだが、あまりにも漠然としている。そこから全体主義につなげるのはいささか短絡的と思った。
身体表現と演出はよかったので、変に主張を絡めなくても、AIに対する人間の存在を十分に示せたのではないか。
それにしても演出は良かった。小ホールが自由な遊び場になっていた。トイレットペーパーを客席に向かって転がすなど、客を信頼しているのだろう。スタッフも美術を動かすだけでない仕事を任されている。「芸術監督の仕事」には誰よりもその劇場で遊ぶことも含まれると感じさせられた。

『八月納涼歌舞伎』第三部 @歌舞伎座
前半は舞踊「越後獅子」。タップダンスやブレイキンのような表現が混じる踊りで、面白く見た。
後半は目当ての「研辰の討たれ」。繰り返しが多く、かつその演出がどれも味付け濃いめで辟易した。役者は流石巧みで、思わず笑ったシーンはいくつかあったが。
それにしても、芝のぶさんはいい役なのにチラシに載らないのは悲し。賞を取ってもなお高いイエの壁。

『ヨナ』@東京芸術劇場シアターウエスト
コンディション悪く、寝てしまった。美術と照明は美しかった記憶。
一人芝居と銘打っているが、台詞のない役者が2人出てくる。ノンバーバルも演技の一つであって、あれは一人芝居ではない。内野聖陽が主演したこまつ座みたく「ほぼ」と付けるべき。

『ダンス審査員のダンス』@東京芸術劇場シアターイースト
制作意図と作品のセリフが直接的すぎるように思えた。発話がわりとラップぽく、『掃除機』における環ROYを逆輸入しているのかと思った。そして違和感がすごかった。が、後半は解消された。
小林うてなは音楽に加え、佇まいも発話もすべてが可愛い。島地保武はさすが。

『チ。 -地球の運動について-』@新国立劇場中劇場
芸達者揃いだが、歌う理由も踊る理由もいまいち分からなかった。もう少し衝動を語るようなそれがあって欲しかった。
見てみたかった窪田正孝が見れて嬉しい。回想のダンスシーンでの身の預け方はさすが。

『我ら宇宙の塵』@新宿シアタートップス
2026年3月30日の深夜、急にこの作品を観たことを思い出した。泣きそうになったことと、池谷のぶえの演技が良かったことくらいしか覚えていない。なぜ忘れていたのか。泣いたのに。全面肯定ではなかったような記憶はある。

『Ballet Shoues』@National Theatre
ロンドン旅行に行くことになり、せっかくならナショナル・シアターで観劇を、と行ったもの。児童文学が原作で、子どももターゲットにした作品。目や耳に楽しい演出だった。
開演前には、作中アンサンブルを務める役者たちが客席へ。男女ともチュチュ?を着て、バレエの動きを客に指導。みんなで振りをした後は、拍手で褒め合い。あたたかな世界に泣きそうになかった。
しかし、開演してしばらくすると時差ボケによる激しい眠気が。海外旅行初日にソワレを入れては行けない。作品に申し訳なかった。

『SIX』@Vandeville Theatre
曲はいいが、茶番だよね感が否めない。対決と言っているのにコーラスに入るし、最初からヘンリーを否定する歌詞なのに、最後にキャサリン・パーに言われて気付いた! みたいなテンションになるのもいまいちスッとおさまらない。何度も演じられるショーと割り切る方が、そういうモンとして楽しめると思う。

『南京プロジェクトvol.6』@STスポット
あまりにも自分に知識がなく、南京事件そのものについて考える契機にはならなかった。(遅いのだろうが)伊丹万作の『戦争責任者の問題』を知れたのは、私にとって良いことだった。

『だくだくと』@STスポット
果てとチークの新作。
ダラダラとした会話は毎度のことながら非常に上手い。しかしそこからパニックに至るまでの描写が雑すぎるように見えた。また設定は面白いが、演劇で見せるには細かすぎたし、それを補う演出も不足していた。

『Which Witch』『MAMA』@長者スタジオ
3人の"魔女"がピクニックをしているところから始まる『Which Witch』と、母と娘の関係、そして女という性について語る『MAMA』の2本立て。参加メンバーは、今年3月に豊岡の芸術文化観光専門職大学を卒業した学生たち。
かなり荒削りな印象を受けたが、私が学生時代に感じていた、"女"として生きるうえでの嫌さや怒りがむき出しにのっていて、胸に響くものがあった。かつて感じていたことが目の前で表現され、なんだか救われた気持ちになり少し泣いてしまった。
数日後、以前毎日のように感じていた怒りが今の自分に感じられないのは、社会が変わったわけではなく、自分が社会に溶け込んだ"大人"になったからだと気付いた。ショックだった。勝手に少し世の中良くなったものと思っていた。これからは"大人"として、若い世代によりよい社会を残せるよう努めなければ。

『ギア』@ギア専用劇場
京都でロングラン公演を続けているノンバーバルシアター『ギア』。工場で働く4人の人型ロボットと、そこに現れたドール(人形)の交流を描く。ロボットは、マイム、ブレイクダンス、マジック、ジャグリング、それぞれのプロが演じる。
考えてみれば当たり前なのだが、ロボットの演技がマイムの人をのぞいて上手くない。まずそこで入り込めなかった。物語もあまり面白いと思えなかった。
とはいえ各キャラクターの見せ場は単純に楽しめた。マジック担当の青ロボがかわいい。

 

以上。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
ゆるりと続けてまいる所存。今年はもうちょっと早く記事あげたいですね。