観劇記録であるとか

タイトルの通り。

『金夢島』

会場:東京芸術劇場 プレイハウス
作・出演:太陽劇団
上演時間:3時間15分(途中休憩15分含む)

 

フランスに劇場を持つ、太陽劇団の来日公演である。

芸劇の先行抽選ならいい席が取れるだろうと思い、申し込んだら2列目の端。端かよーなんて思っていたけど見切れもほとんどなく良い席でした、ありがとうございます。上手デハケの様子は分からなかったが、前触れもなく大きなものが飛び出してくる(大きな出ハケ口は上手にあり、大道具はそこを通る)様は、まさに夢を見ているようだった。

フランスで病に伏せるコーネリアの見た/観た、日本の、演劇祭の夢。

幕がサッと取り払われるとそこは大きな倉庫。舞台奥、倉庫の外側には幕が張られており、倉庫の窓が開いていると、幕に映し出される外の様子(既存の日本画を用いている)が見て取れる。また、舞台上部には金夢島の四季を描いた幕が何枚か吊るされており、字幕はそこに写し出される仕組みだ。
この倉庫が物語の舞台になることもあれば、島の別の場所が舞台になる時もある。その時は、倉庫の装置はそのままに、役者たちが車輪のついた台など大道具を運び込み、別の空間を作り上げていく。
ただこの転換はいささか時間がかかる、というか長い転換の際に転換以外の演出を入れないことがしばしばで、そこは少し退屈した。が、概ね面白くみた。

演劇祭、特に国際演劇祭なので様々な国から劇団がやってくる。言語も様々だ。各々が各々のままで、ともにいる。そういう平和のための祈り。We'll Meet Again. 
と、まぁぐっとこないこともないが、目下ひどい戦争、というか侵略と殺戮が起こっている中で、呆れたように言う「やめればいいのに」はあまりにも雑だと思うし、ラストシーンで流れる『We'll Meet Again』もWW2の際にイギリス軍の慰問コンサートで使われたということで、良い曲だが相応しい曲ではない気が。
もしかしたら大国フランスから来た劇団だ、と思うから違和感を覚えるのかもしれない。コーネリアが言っている、と思えばまぁ。

楽しかったのは風呂場のシーン。役者がふくよかな肉襦袢を着て、裸をいやらしくなく、間抜けなものとして見せているのが好ましかった。湯気はスモークをたき、水音は近くに水の入った桶をおいてアクトに合わせて作っているのも楽しい。
あと、字幕について触れておきたい。字幕は最前と舞台中程、2箇所の幕に写し出される。しかも舞台中程の字幕は、アクティングエリアに応じて写す幕を前後させている。素晴らしい。かなりの前列だったが、字幕を見るのにストレスを覚えなかった。

全体に、基本楽しんだが、めちゃくちゃ感動したわけではなかった。
それより、劇団のフラットな、全員が楽しんで皆で作り上げるかんじ(かといっていわゆる手作り感ではなく、洗練されている)、1つになるのでなく様々な人たちが集まって共にいる様がとても好ましかった。その様子にじわっと癒やされた時間でした。