観劇記録であるとか

タイトルの通り。

『ジャズ大名』

会場:KAAT神奈川芸術劇場 ホール
作︰筒井康隆
演出:福原充則
上演時間:2時間10分(休憩なし)


筒井康隆の短篇小説『ジャズ大名』の舞台化。神奈川芸術劇場の公演だからか、舞台を神奈川の荻野山中藩に置き換えている。

神奈川県内陸部に位置する荻野山中藩は、小田原に流れ着いた黒人3人を預かることになる。地下牢に閉じ込められた3人は、気を紛らわせるため日々歌い踊る。荻野山中藩藩主である大久保教義はそこから漏れ聞こえる音楽にすっかり魅力されてしまい、それは藩全体へと伝播していく……。

楽しかった。
毎年とはいわずとも、時折年末に上演してほしい。稽古場での進化発展は特にないかもしれないが。
展開がわかりやすい。また音楽が魅力的なので、話にハマれなくても楽しめる。そういう大衆さがある一方で、どうしようもなく進んでいく歴史の大波への無力さといった明るくはない思いが物語の中に常にあり、作品を楽しいだけのそれではなくしている。
途中、黒人3人の経歴がしっかりと語られるのも良かった。

千葉雄大は魅力を発揮。千葉ヒャダ旅でみれる彼の面白への追求は、もっと多くの作品においても機会を与えられるべき。他の役者も皆良かった。
あとテルミンの格好良さね! 楽隊の最前列で一人だけ立ってやるので場を支配する王ぽさがあった。

ラストの畳み掛けはなんかもうめでたくて、年末にぴったり。色んな人間、死者までもが入り混じって楽しい時を共有する喜び。とはいえ"忘年"するだけではいけないよね、という。