観劇記録であるとか

タイトルの通り。

『箱根山の美女と野獣』『三浦半島の人魚姫』

会場:逗子文化プラザホール なぎさホール
作・演出︰長塚圭史
振付:柿崎麻莉子
上演時間:それぞれ1時間(途中休憩15分)


神奈川県内各地の公共劇場/ホールを巡って、KAATや演劇のこと知ってもらおうというKAATカナガワ・ツアー・プロジェクトの第2弾。会場は最も近い逗子で観た。とても良いプロジェクトだと思うので、今後も継続してほしい。

今回は、存在するか不確かなものを探すおはなしと存在するか不確かな場所で生きる獣のおはなしの2本立て。
門戸を広げる取り組みでありながら、「あやふやなもの」をテーマに扱い、物語も起承転結がはっきりした分かりやすいそれでないのは好ましい。柿崎麻莉子の振付と自身の身体表現が巧みで、仮に物語について行けずとも十分楽しむことができる作品となっていた。人魚姫でのデュエット、野獣でのソロのダンスは素晴らしかった。
ニッチな神奈川ネタは今回も。ニッチすぎて身近さには貢献していない。県内各地の神様がたくさん出てきたが、ほとんど知らなかった。どちらかというとテーマの方に貢献していたと思う。皆で集まって存在しない何かを"ある"とみなすこと。

ラインナップ発表の時不安だった『美女と野獣』における「軽やかにジェンダーを超えた」演出は、ある程度上手いこといっていた。出てきてすぐに笑わせるようなことはなく、あたり前に登場してきたのは良かった。
しかし、主人公の「触る?」は、いやらしくないとはいえ、唐突に出てくるものとしては強すぎて笑えない。また長塚圭史演じるキャラクターの長身いじりは良くないと思う。(女性でも長塚と同じ身長の人は存在する。)
何度か作品を見てきて、露骨なそれはないものの、長塚圭史ジェンダー表象その他がちょっとステレオタイプなかんじが否めない。公共劇場なんだし、新作かける時は監修入れてみるとかしても良いのではと思う。企画趣旨はいつも好きなので、安心して周囲に勧められる作家であって欲しい。

水曜夜の開催で、集客は350人程度か。昨年8月、同じく逗子で日曜昼に開催された『さいごの1つ前』より集客していた。なんで? キッズ・プログラムと思って大人は避けたのだろうか。よく分からん。
今回も子どもの姿が結構見られた。子どもに限らず、今回の種まきがまた次につながることを願うばかり。