観劇記録であるとか

タイトルの通り。

『てなもんや三文オペラ』

会場:PARCO劇場
全2幕、休憩含め3時間ほど

※見たのが1月前とかなので記憶があやしい。ネタバレをしている。

ブレヒトの『三文オペラ』を戦後の大阪を舞台に置き換えたもの。
三文オペラは2度目なので、話の流れは知っていた。

大阪新喜劇のノリについて行くことが出来なかったので、見ていてかなり辛かった。差別的な描写で笑いを取ることもしばしば。
また歌が非常に悪かった。歌詞があまりに聞き取れない。音響の問題もあるし、演者の問題もあるだろう。音楽のクオリティや歌唱力を気にする演目ではないが、どちらも悪いとなると、観ていてとても辛い。福井昌一は上手かったが。

話の大筋はラスト直前までほとんど原作を踏襲している。しかし、マックが絞首台で死んでしまうところから大きく原作を外れる。この絞首台のシーンが良かった。「悲しみや怒りを覚えても、私たちは忘れやすい。忘れて生きていく♪」みたいな盆踊りを絞首台をやぐらにみたてて踊る。ここは皮肉がきいていて好みだった。
しかしこれでは終わらない。エピローグが長い長い。その後のポール(ポリーを男性に置き換えている)とルーシーがマックを偲ぶシーン、戦争の回想、戦死者たちの成仏。これらのシーンでセンチメンタルになって終わる。
これはあまり好みではなかった。というか、三文オペラを求めた時に出てくるものではなかった。なんというか、現代の世の中の仕組みクソッタレ! みたいな今に通じる怒りや皮肉が薄まって、過去を繰り返してはならない…みたいな感傷的な話になってしまった。

ポリーの扱い、に限らずマックを愛する4人の取扱いも気になった(ブラウンもマックを好きだという設定になっている)。恋愛描写がこそばゆいからあぁなってしまうんだろうが、差別的な描写が増えているばかりである。

生田斗真のダンスは見栄えがする。平田敦子の演技は良かった。演奏者として度々登場する朴勝哲が可愛い。(繰り返しになるが)福井昌一の歌が上手い。
等、演者の元々の魅力で楽しむポイントがいくらかあったが、『てなもんや三文オペラ』としては盆踊りのシーンを除いていまいちハマらないかった。