観劇記録であるとか

タイトルの通り。

『帰還不能点』

劇団チョコレートケーキ
会場:東京芸術劇場 シアターイース
上演時間:2時間10分 休憩なし

2021年2月初演。今回の上演は、芸劇のシアターイースト・ウエストにて劇団チョコレートケーキの過去作・新作を6本上演する企画、『生き残った子孫たちへ 戦争六篇』の1本としてなされた。

舞台は居酒屋。集う彼らはかつて、若手エリートとして官庁等から出向し、総力戦研究所にて研究に励んだ同窓生である。
酒が進み、研究所で行った「模擬内閣」のように、日本が日米戦争に突き進んだ様子を演じ、興じる。その回顧の中に自らの姿はあるか。

面白かった。また演者も上手かった。

エリート故の嫌らしさが見え隠れするのが良い。
冒頭、模擬内閣のシーンで緊張が緩むとクスクス笑っているかんじとか。(セリフあまり聞き取れず、認識誤っているかもしれない)
居酒屋での様子も終始、自分たちは賢く優位にあるのだ、との態度。しきりに戦犯を(自分たちとは違って)愚かだといい、演じながら茶化す。居酒屋の女将が素朴な質問をしてくれるのをいいことに、有識者として解説してみせる様。質問に対して「それは後のお楽しみだ」と真正面に答えないとか。

国の中枢近くで過ごしながら、上とは異なる"正しい"結論を出したこと。それを一種勲章のように捉えている。ただ実際には、与えられた役に求められる/期待される行動を"正しく"こなしただけだったのではないか。ラスト、模擬内閣をやり直すシーンは、期待される範囲を超えて自分に何が出来るか、何をすべきかを考えながら、役を演じる。その様に希望を見いだした
……と言いたいところだが、結局あの場の空気に乗っかっただけだし、自分やその周囲が出した答えが考えが必ずしも世のためになるとは限らないわけで。反省は孤独に、行動は視野を広く持ってやっていかねばなぁなど。